住宅購入費用の考察

注文住宅の購入の流れは?体験談で学ぶ支払いタイミングと諸費用の金額

今回は注文住宅を購入するときの支払いの流れをご紹介します。
建物の場合は土地よりも複雑になるので、資金繰りが大変です。

建物の場合も、購入する上で注意しなければいけないのは、一回でもお金が支払えなくなったらそこで終了ということです。
そんなことにならないためにも、支払いの流れをある程度把握して資金繰りをしてください。

今回も私の経験を元に書いています。
人により多少の違いはあると思いますが、おおよそあなたが購入する場合でも正しいと思いますので参考にしてください。

土地代の支払いタイミングについては、「土地購入の流れは?諸費用はいくら?体験談から学ぶ土地購入の注意点」に書いています。こちらも参考にしてください。

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建物代は複数回に分けて支払う

注文住宅の料金の支払いは、引渡し時に一括後払いですると思っていませんでしたか?
私は、家を購入する前までは、引渡し後、ローンが下りた後に一括で代金を支払うものだと思っていました。

しかし、これは間違いです。
家のように高額で完成まで時間がかかる物は、契約破棄のリスクを考え、複数回に分けて支払いをするのが普通のようです。
つまり、建設途中に何回も支払いの請求がくるということになります。

では、その支払い内容とタイミングはいつなのでしょうか?

私の例を挙げると

  • 1. 設計時

    ・設計料
    (建物代の割引として後日返金)

    上記費用の支払い

  • 2. 契約時

    ・建物代の1/3

    上記費用の支払い

  • 3. 上棟時

    ・建物代の1/3
    ・地盤補強費
    ・水道工事費用
    ・その他、地盤調査などの代金

    上記費用の支払い

  • 4. 建物の引渡し時

    ・建物の残金
    ・追加工事費
    ・住宅ローン関係費用

    上記費用の支払い

この4つのタイミングで支払いがありました。
更に、上に書いたタイミング以外でも火災保険料や引越し代などのお金も必要になってきます。

家の完成は4番の「建物の引渡し時」となります。
見ても分かる通り引渡し時までに殆どのお金を払っていることになります。

しかし、住宅ローンは建物の引渡し時まで下りません。
つまり、引渡しまではなんとか自分の資金でやり繰りする必要があるということです。

それでは、上の支払いフローに従って、家購入の流れと費用についてもう少し詳しくみていきましょう。

1. 家の設計の流れは?

家の設計イメージ

家を購入するとき、まず最初に行うのが家の設計です。

設計というと間取りを決める事と考えてしまいそうですが、実は違います。
間取りを決めた後に、柱の位置や耐震構造を考えて頑丈な家にするための構造計算をするのが設計です。

これはもちろんプロでないとできません。
そして、設計をしてもらうにはお金が必要です。

ハウスメーカーによっては設計料を建物代に入れている所もあります。
その場合、設計料は無料になります。
他には、一時金として設計料を払い、後で建物代から割引くこともあります。
私はこのパターンでした。

私の場合は、家の設計を開始するにあたり、まず設計料の支払いがありました。
支払いが終わると、家の間取りを決める打ち合わせが始まりました。
間取りは1回では決まりませんので、何度も何度も打ち合わせを行いました。

間取りを決めるにはとても時間が必要です。
休日のみでなく、平日の夜に行うこともあるようですが、私の場合は、打ち合わせは休日にすべて行いました。

人により違いはあると思いますが、私の場合では間取りを決めるのに約1ヶ月半ほど費やしました。

家の設計に必要なお金は?

さて、設計料なのですが、私の場合は以下の通りになりました。

設計時の支払い内訳
▼ 設計費
100万円
(実質0円)
※割引で返金

これは当然ハウスメーカーにより違いがあります。
ただ、設計費が必要なら100万円以上は必要だと思っておいた方がいいでしょう。

設計費の支払い方法は銀行振込でした。
銀行のATMから指定口座にお金を振り込み、電話で確認をとって終了という流れでした。

2. 家の契約の流れは?

本契約イメージ

家の間取りが完成し、設計が終わると概算見積りが出ます。
そして、その段階で家の購入契約をすることになります。

私の場合は、家の購入契約はハウスメーカーの事務所で行いました。
契約書を確認してハンコを押して終了です。
そして、契約の時に建物代の支払いに関する打ち合わせを行いました。

基本的には、家の契約時は概算見積りの1/3の料金を支払うことになります。
しかし、この代金に厳密な決まりはありません。

交渉次第で支払比率は変えることも可能です。

私はできるだけつなぎ融資はしたくなかったので、契約時の支払いを低くし、上棟時の支払比率を高くしてもらいました。

▼つなぎ融資はやらなきゃ方がいい?▼
その理由はこちらを参考にしてください

[rcmd title="合わせて読みたい"]住宅ローンのつなぎ融資をする前に知っておきたい6つの注意点[/rcmd]

家の購入契約時の代金の支払いは銀行振込でした。
金額が大金になり、ATMで振込むことができなかったので、直接銀行へ行き、指定口座へ振込をしました。

家の契約時に必要なお金は?

では、家の契約時に支払ったお金です。

契約時の支払い内訳
▼ 建物代
245万円 ※建物代の10%

私の場合は、家の概算見積りが2000万円でした。
先に書いたように、本来なら契約時は総額の1/3を支払うので約670万円になります。

しかし、私は契約時は概算見積りの約1割程度、上棟時に4割程度、引渡し時に残りという振り分けにしてもらいました。

何度も書きますが、この時に住宅ローンは下りません。
つまり、このお金は自己資金で用意しなくてはいけません。
資金が足りなければ、つなぎ融資をしないといけなくなるので注意してください。

建物の上棟前にかかるお金は?

ここで補足です。
実は、契約から上棟前にもちょっとした出費があります。
それは地鎮祭という儀式です。
これは土地に災いがないようにする為の儀式で、もちろんお金も必要になります。

地鎮祭の支払い内訳
▼ 神主への謝礼
約2万円 ※気持ちなので上下あり
▼ その他、地鎮祭のお供え物
約1万円
■ 合計
約3万円

お供え物は準備してもらえれば無料になります。

3. 家の契約から上棟までの流れは?

上棟イメージ

上棟とは、簡単に言うと建物の骨組みを作ることです。
大工さんが家の骨組みを作っているところを見たことはありませんか?
あれが上棟です。

注文住宅で家を購入するときは、上棟前に色々な手続きがあります。
もちろんそれらにもお金が必要で、その代金は上棟時に支払わなくてはいけません。

地盤調査と確認申請をする

家の上棟をする前には、まず地盤調査を行います。
地盤調査に関しては、ハウスメーカーが行ってくれるので、私たちは特に何もする必要はありません。

ただ、地盤が弱ければ地盤補強が必要になり、地盤補強費が発生します。
私は運よく地盤補強は必要ありませんでした。

地盤調査の後、ハウスメーカーが役所に確認申請というものを行います。
これは、家が基準に合っているかを確認してもらうもので、これを行わないと家が建てれません。
確認申請はもちろんお金も必要です。

私の場合、家の契約から確認申請が終わるまでに約4ヶ月かかりました。
その4ヶ月の間に内装やキッチン、トイレなど、家の細かい設備を決めていました。

確認申請後、基礎を作って上棟をする

確認申請でOKが出れば家の作成が開始されます。
まずは基礎の工事が始まります。
基礎とは、家の下部のコンクリート部分です。
これは家の代金に含まれているので特にお金は必要ありません。

そして基礎が完成したらやっと上棟になります。
あっという間に家の骨組みが完成し、上棟は1日で終了しました。

私の場合は、上棟日に2回目の支払いの請求書を渡されました。
そして、また銀行振込でお金を支払いました。

上棟時にかかるお金は?

では、上棟時に支払ったお金です。

上棟時の支払いの内訳
▼ 建物代
850万円 ※総額の40%
▼ 地盤調査費
12.6万円
▼ 確認申請代
29.4万円
▼ 瑕疵担保保険代
6.8万円
▼ 水道工事代
0円
▼ 地盤補強費
0円
■ 合計
898.8万円

瑕疵担保保険とは、万が一、家の工事で事故が起こった時の保険になります。

家を建てる土地に水道が引き込まれていない場合は水道工事代も必要になります。
私は必要ありませんでした。
水道工事は約15万円と言われていたのでかなり助かりました。

また、地盤補強があれば、その代金も上棟時に請求されることになります。
地盤補強費は、補強の程度により変わりますが、酷いと100万円を超えることもあり得るそうです。

上に挙げた料金で、注目すべきは、建物代以外で約50万円も必要になっている点です。
この50万円は想定外の支払いでした。

50万円も予算がズレると資金計画が狂ってしまいます。
起こりうる支払いを事前に把握するため、料金については、ハウスメーカーに事前に問い合わせてください。

ちなみに、基本的にはこの時点でも住宅ローンは下りませんが、銀行によってはここから住宅ローンが開始できるところもあります。
自己資金が少なく、つなぎ融資をできるだけ減らしたいなら、上棟時にローンを開始できる銀行を選ぶのも一つの方法です。

ただし、そのときは引っ越しまでの間、家賃と住宅ローンの二重払い生活になるので注意してください。
どちらが良いか家族で話し合って資金計画を立てるようにしましょう。

引渡し前に必要なお金は?

上棟時の支払いも終わり、残すは引渡し時の支払いのみです。
でも、実は引渡し前にもお金が必要でした。

引越し前の支払いの内訳
▼ 火災保険代
98.3万円
▼ 引越し代
10万円
▼ 家具代
44万円
■ 合計金額
152.3万円

まずは火災保険です。
火災保険は引渡し前に契約する必要があります。

支払いは、火災保険の契約タイミングによっては、引渡し後になることもありますが、基本的には家の購入前に必要なお金と考えた方が良いです。

私は運悪く100万円近くになりましたが、設計前、土地を買う前なら安くする方法があります。

▼火災保険はもっと安くできる▼

[rcmd title ="合わせて読みたい"]>>火災保険で家が安くなる?家を安く購入するためにまずやるべきこととは?[/rcmd]

また、スムーズに新居へ移動するには、引越しも事前に契約する必要があるので早い段階でお金が必要になります。

家具も引渡し前に購入することになると思います。
こちらも計算に入れておいた方が良いでしょう。

4. 上棟から引渡しまでの流れは?

上棟が終わると、大工さんが家の内装を作ってくれます。

上棟までの間に、キッチン、お風呂、トイレ、ドア、コンセントの位置など間取りに関わる部分はすべて決めておく必要があります。
壁紙やカーテンなど、間取りに関わらない内装部分であれば上棟した後に変更することも可能です。

私の場合、上棟後は内装部分の細かい打ち合わせをし、約4ヶ月ほどで家が完成しました。
そして、家の完成後、引渡し日を打ち合わせして決めました。

残金の支払い方法は?

残金は、引渡し日までに支払う必要があります。
支払いは、最後なので土地の本契約同様、ハウスメーカー立会いの下、銀行で行うのかと思ったのですが、特にそういうことはなく一人で銀行へ行き、振込みをして終了でした。

ただ、一つ違ったのが、この時は住宅ローンが開始されるので、銀行で住宅ローンの開始手続きをしたことです。
手続き後、融資は即日で実行され、残金をハウスメーカーへ支払って家の購入に関する支払いはすべて終了しました。

支払いが終われば、引渡し日にハウスメーカーへ行き、家のカギをもらいます。

引渡し時に必要なお金は?

引渡し時に支払ったお金は以下の通りです。

引渡し時の支払いの内訳
▼ 家の残金
936.8万円 ※追加工事費含む
▼ 外構代
100万円
▼ 住宅ローン保証料
44.3万円
▼ 住宅ローン手数料
2.1万円
■ 合計金額
1083.2万円

住宅ローンは引渡しと同時に開始されます。
つまり、家の残金は住宅ローンで支払うことができます。

この時点までに色々と設計変更をしていた場合、設計変更による追加金もこの時に支払います。

例えば、カーテン代や照明代、外構代などは最初の見積りでは入っていません。
これらの代金はここで追加で支払うことになります。

ここでもやはり注目すべきは家の残金と外構代以外の料金です。
合計で46.4万円もあります。
家を購入するときは、建物以外の料金がかなり高額になるので注意してください。

さらに、もう一つ注意点としては、設計変更などによる追加金です。
私は極力設計変更は行わないようにしたのですが、それでも大きな追加金がありました。

それは別枠で設けている外構代です。
外構とは境界ブロックなど庭の作成です。

注文住宅では、基本的に概算見積りに外構代は含まれていません。
私は外構代でおよそ100万円の追加があり、これにより予算が大きく狂ってしまいました。

追加金の多くは上棟後に発生します。
分割払いでお金を支払うと、どうしても建物の合計額が分からなくなってしまい概算見積りからのズレが分からなくなります。

また、分割払いだと毎回の支払い額が低く見えるため金銭感覚も狂いやすくなります。
その結果、あれこれオプションを付けてしまい、最後の支払い額がとても多くなる危険性があるのです。

建設中も、現在合計でいくら払ったのか、予算の範囲で家が建てれているのかをしっかりと把握するように注意しましょう。

引渡し後は司法書士手数料と税金に注意

引渡しも終わり、全て終了と思いきや、まだお金は必要になります。
それが司法書士手数料です。
これは、引渡し時に一緒に支払うこともあります。
私の場合は、引渡しの後日、銀行振込で支払いました。

また、翌年には不動産取得税の通知がきます。
これは建物の大きさや評価により変わりますが、10万円以上は必要になると思っていいでしょう。

引渡し後の支払い内訳
▼ 司法書士手数料
23.9万円
▼ 不動産取得税
10万円以上
■ 合計金額
33.9万円以上

家を購入してから1年間は、税金も含め、何かしらの請求がくる可能性があると考えておいた方がよいでしょう。
引っ越しが終わって1年ほどすればやっと住宅ローンと固定資産税の支払いのみの生活となります。

最後に合計でいくらかかったのか?

どうでしょうか?
ある程度の流れを掴んでいただけたでしょうか?

最後に合計金額を計算してみました。

▼左:支払い総額▼
右:建物と外構代以外の諸経費

注文住宅の購入費(建物のみ)
▼ 設計時
0円 0円
▼ 契約時
245万円 0円
▼ 上棟前
3万円 3万円
▼ 上棟時
898.8万円 48.8万円
▼ 引渡し前
152万円 152万円
▼ 引渡し時
1083.2万円 46.4万円
▼ 引渡し後
33.9万円 33.9万円
■ 合計金額
2415.9万円 284.1万円

私の場合、建物代と外構代以外の諸経費で284.1万円余分に必要になりました。
しかも、これは水道工事代と地盤補強費無しの金額です。

よく諸経費は200万円くらいと言われますが、それ以上になる可能性もあることがわかると思います。
200万円以上も余分にお金がかかったら完全に資金計画が狂ってしまいますよね。
諸費用を把握することがいかに大事か分かると思います。

正確な値段を聞くにはハウスメーカーに確認をするしかありません。
自分の予想で計算をするのが一番の失敗の原因です。

予想外の金額を請求されない為にも、家の建設中は値段をこまめに確認して、予算内に収まっているかを把握しておくことがとても大事ですよ。

▼資金計画で失敗しないために▼

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磐田 隆行

住宅ローンアドバイザー、FP3級。 家を建てた時、家作りの難しさを体感。自分の失敗や経験を元に家作りに必要な情報をお届けしたいと思いブログを立ち上げました。特に資金計画の難しさを実感したので住宅ローンアドバイザーの資格を取得。今もなお勉強中です。

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