住宅購入費用の考察

住宅ローンの繰り上げ返済、本当に早く返済した方が得なの?

住宅ローンをしている人なら必ずと言っていいほど繰り上げ返済をして早く住宅ローンを終わらせたいと思うでしょう。

しかし、本当に繰り上げ返済を多くして早く返す方が得なのでしょうか?
ここではちょっと違った視点から住宅ローンの繰り上げ返済を考えてみたいと思います。

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住宅ローンは金利が低い、繰り上げ返済は時に損をする

住宅ローンは借入額が大きいため、どうしても高いローンというイメージがありますよね。
でも、実は何よりも金利が低くお得なローンなのです。

2019年現在、住宅ローンの金利はかなり低く、今は住宅ローンを借りるにはとても都合の良い時期と言えます。

住宅ローンの金利は10年固定でも1%を切り、変動だと0.6くらいになっています。(※安いがゆえに注意点もあります。「住宅ローンの低金利は実は危険?破産したくないなら知るべき金利の話」を参考にしてください)

では、自動車ローンはどうでしょうか?
金利はだいたい住宅ローンのプラス1%くらい、学資ローンもだいたいプラス1%くらいです。
金利だけで見ると住宅ローンと比べ割高になります。

これはどういうことかというと、自動車ローン、学資ローンよりも住宅ローンを借りていた方が得ということです。

貯金がたまってきて車を買い換えようとしたとき、繰り上げ返済をして住宅ローン残高を少なくしたあとに自動車ローンを借りるよりも、繰り上げ返済をしないで自動車ローンの借入額を減らした方が得をするということです。

早めの繰り上げ返済は得なのか?

住宅ローンを借りている人は、フラット35で借入している人以外は必ず団体信用生命保険に入っていると思います。

団体信用生命保険とは、借用人が亡くなれば住宅ローンを代わりに支払ってくれる生命保険で、保険の期間は住宅ローンの返済が終わるまでです。

繰り上げ返済をして住宅ローンを早く返すと、この団体信用生命保険も早く終わってしまうことになり、そのメリットを最大限活かせないことになってしまいます。

例えば、以下の条件の二人がいたとします。

Aさん
貯金    :1000万円
繰り上げ返済:希望する

Bさん
貯金    :1000万円
繰り上げ返済:希望しない

Aさんが1000万円の繰り上げ返済をした後すぐ、AさんもBさんも亡くなってしまったとします。

そうすると、お互い住宅ローンは団体信用生命保険によって返済されます。
しかし、Aさんが家族に残せるお金は0円、Bさんは1000万円という差が出ます。

この違いはとても大きいですよね。
団体信用生命保険は文字通り「生命保険」です。
せっかく高いお金を支払った保険なので上手に活用しないともったいないですよね。

確かに繰り上げ返済をした方が総返済額は少なくなり、無事に返済期間が過ぎれば繰り上げ返済をしなかった人よりも得をすることになります。

しかし、将来のリスクも考えると早めの繰り上げ返済が必ずしも得になるとは限りません。
むしろ、団体信用生命保険を最大限に活かしながら将来の貯蓄をする方が安心して生活できるかもしれないのです。

繰り上げ返済による総返済額と投資の利回りを比較するべき

あなたは株や債券、投資信託などをしていますか?

住宅ローンを組んでいる人で投資をしていると、お金が貯まった時に繰り上げ返済をしたいと考えてしまいがちです。
でも、ここでも本当に繰り上げ返済が得か考えるべきです。

例えば、毎年安定して以下の条件の投資ができているとします。

投資額  :300万円
利益   :10%/年

1年後には30万円増える計算になるので投資額は330万円になります。

ここで住宅ローンを早く終わらせるために繰り上げ返済をすると、投資額の330万円を全て無くすことになります。

そうすると、次の年にはもう投資利益の30万円は入ってきません。
しかし、繰り上げ返済をせず330万円を再投資すると次の年にはまた10%、つまり、33万円の利益が出ることになるのです。

投資は減ることもあるのであくまで皮算用ですが、投資で住宅ローンの金利以上の利益が出ているなら投資を続けた方が、結果としてお金が貯まることになり、焦って繰り上げ返済をするよりも得ということになります。

この場合でも先に書いた団体信用生命保険のメリットも活きてきます。
金融資産は家族に残りますが繰り上げ返済をすれば家族にはお金は残りませんからね。

繰上げ返済がデメリットになることもある

繰上げ返済は、返済額軽減型と返済期間軽減型の2つがあります。
総支払額を減らす効果は、後者の返済期間軽減型の方が大きいのですが、こちらの場合、下手をするとデメリットになることもあります。

それは借り換えができなくなるということです。
借り換えをするには再度、返済負担率の審査が必要となります。
そして、借り換えでは基本的に返済期間は借り換え前の期間が引き継がれます。つまり、返済負担率が高くなってしまうのです。

その結果、繰上げ返済をしたことで審査が通過しなくなり借り換えができなくなるということもあり得るのです。

住宅ローンは早く返すより上手に返しましょう

ここまでの話で、住宅ローンの返済といっても、ただ単純に繰り上げ返済を多くし、早く返せば良いわけではないことがわかると思います。

寝かせている資金が多くあるならもちろん繰り上げ返済をする選択肢も良いと思いますが、無理をしてまで繰り上げ返済をする必要は無いということです。

いかに早く返すよりも、いかに上手に返すかを考えた方が、長い目で見たら早く返せると思いますよ。

磐田 隆行

住宅ローンアドバイザー、FP3級。 家を建てた時、家作りの難しさを体感。自分の失敗や経験を元に家作りに必要な情報をお届けしたいと思いブログを立ち上げました。特に資金計画の難しさを実感したので住宅ローンアドバイザーの資格を取得。今もなお勉強中です。

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