住宅購入費用の考察

変動金利に潜むリスク、知っていますか?住宅ローンを選ぶための基礎知識

変動金利はどんな人に向いているのでしょうか?

それは、お金に余裕がある人です。

住宅ローンをすることで、私たちは家を手に入れる変わりに大きな負債を抱えることになります。
家を手に入れるという喜びの裏には、多額の負債を背負うというデメリットがあることを忘れてはいけません。
そして、デメリットに目を向けると、変動金利がお金に余裕がないと危険だということがわかってきます。

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変動金利はなぜ危険なのか?

変動金利のメリットは、金利が低く、月々の支払い額が安く済むことです。
一方でデメリットは、総返済額がわからないことや、半年単位の金利の見直しにより未払い利息の可能性が出ることが挙げられます。

未払い利息とは、月々の支払い額に対する利息の支払い比率が100%を越えてしまうことです。
そして、これを知らずに変動金利にすることはとても危険です。

変動金利の返済額の仕組み

変動金利において、金利は半年単位で見直されます。
しかし、月々の支払い額は5年単位でしか見直されません。
更に、その上げ幅は1.25倍までと制限されています。

パッと見ても理解に苦しむ制度ですが、簡単に言うと、短期間で大幅な金利の上昇があっても月々の支払額が急に増えることはありませんという仕組みです。

一見、とても良い制度に感じますが、実はこれがとても危険な状態を生む原因にもなるので注意が必要です。

住宅ローンは、元本よりも利息を優先して返さないといけません。
そして、その値上げ幅は5年で1.25%と制限されています。

現状、月々5万円の支払いをしていたとしたら、たとえ金利が突然10%上がったとしても、月々の支払い額は6万2500円以上にはならないのです。

しかし、支払額に占める利息の割合は違います。
先にも書いたように、住宅ローンでは利息の支払いが優先されるため、急速に金利が上がると、利息の返済比率が100%を額を越えて、6万2500円の支払い全てが利息になってしまう可能性があるのです。
最悪の場合、利息が月々の支払では利息が払いきれず、毎月利息が溜まっていく状態になります。
これを未払い利息と言います。

この状態になると、毎月住宅ローンを返済しているつもりが、元本が全く減っていないという状況になってしまいます。

金利上昇局面での固定金利へ乗り換えれるのか?

もしあなたが変動金利で住宅ローンをしていて、未払い利息が発生しているとわかったらどうするでしょうか?

更に金利が上がる可能性のある変動金利を避け、安定感を求めてすぐにでも固定金利に切り替えたいと思いますよね。
でも、それは簡単ではありません。
その理由は、固定金利の利率にあります。

固定金利は変動金利よりも早く利息が上がる

固定金利の金利上昇は、変動金利よりも早いのです。
変動金利の利率上昇により、未払い利息が発生している状況では、まず間違いなく生活は苦しくなっているでしょう。

そんな時に固定金利に切り替えようとしても、固定金利の金利は変動金利よりも遥かに上になっているのです。
つまり、ただでさえ苦しい状況なのに月々の支払い額が更に増えることになるのです。

もしお金に余裕があれば、月々の支払額が増えても固定金利に乗り換えできますよね。
これがお金に余裕がある人しか変動金利を借りてはいけないという理由です。

銀行はなぜ変動金利を勧めるのか?

聞くととても危険に思える変動金利なのですが、銀行によっては変動金利を勧められることも多くあります。
それはなぜでしょうか?

その理由は2つあると思います。

変動金利は銀行にとってリスクが低い

銀行も商売ですので、リスクは背負いたくないのは当然です。
固定金利は、長期間に渡って一定の利率でしか利子を取れないので、金利が変動したときのリスクは銀行が負うことになります。
金利が上がったときに、本当は利子が高くなって儲かるはずなのに、固定金利ではそれができないのです。

逆に変動金利は、金利上昇のリスクを私たちは借り手が負うことになります。
銀行にとってリスクが低い分、安くお金を貸すことができるのです。
固定金利は、銀行が金利変動のリスクを負う分、変動金利よりも利率が高いのです。

過去10年以上において、金利が低い状態が続いている

銀行員の人も悪い人ばかりではありません。
中には本当にあなたのことを考えアドバイスをしてくれる方も多くいます。

そんな素晴らしい銀行員が変動金利を勧める理由としては、過去10年で、固定金利で住宅ローンを支払い続けた人と変動金利で払い続けた人を比べると、確実に変動金利の人の方が得をしているという事実があるからでしょう。

今の経済状況を考えると、この先もまだまだ上がらないという見解と、上がっても急に大幅に上昇することはないという予測から変動金利を勧めているのかもしれません。

あなたは変動金利に適していますか?

今、住宅ローンを借りている人で変動金利の割合は50%以上と言われています。
しかし、最近は変動金利のリスクを取り上げて固定金利を勧める流れが強くなってきている気がします。
私が住宅ローンを借りるときも固定金利を勧められました。

ただ、変動金利も固定金利も双方にメリット、デメリットがあるため、どちらが良いとハッキリ言うことはできません。

低金利のメリットを最大限活かしたいなら変動金利、お金に対して不安を持ちたくないのなら固定金利、という考え方になると思います。

自分の生活を振り返ることが大事

余裕を持って住宅ローンを借りれる人はとても少ないです。
そのため、金利の種類を選択するときは自己分析がとても大事になります。

私もそうなのですが、お金に余裕があるとどうしても後先を考えずお金を使ってしまいます。
あなたはどうでしょうか?

あなたももしそんなタイプであるならば、固定金利に向いているかもしれません。
金利が低いと月々の支払い額が安く見えるので、どうしてもムダに高い家を買いたくなってしまいます。
これでは月々の返済額が多くなってしまいます。

変動金利のメリットは、高い家が買えることではありません。
総返済額、月々の返済額を減らせることです。
高い家を買って、月々の返済額が高額になってしまえば、変動金利のリスクだけが残ってしまいます。
支払い額に対するリスクを管理できないなら固定金利の方が安全です。

リスクを管理できるなら変動金利はとても良い

もしあなたがリスクをしっかりと把握できて、お金に余裕を持って住宅ローンを組むことができるのなら、変動金利はあなたにとって大きな助けとなるはずです。

さきほど50%の人は変動金利を選んでいると言いましたが、そのなかで変動金利のリスクを把握した上で余裕を持って借り入れできている人はどれくらいいるのでしょうか?
あなたが、もし安易に変動金利を選ぼうとしているのであれば、一度、変動金利が自分に合っているのか考えてみてください。

その結果、あなたがまだ知識不足だというのなら、安易に変動金利を選ぶことだけは止めてくださいね。
逆に、この先しっかりと勉強をして、リスクを把握した上で賢く借り入れをできるなら、金利が低い今の時代、変動金利はあなたの強い味方になると思います。

住宅ローンについては学校でも社会に出てからも誰も教えてくれません。
教えてくれるのは信用できるかわからないハウスメーカーの営業マンか銀行員だけです。そして、そんな人たちからのアドバイスで借りた住宅ローンは、あなたの人生に大きな影響を与えます。

住宅ローンは大きな決断です。
失敗をしないためにも様々な意見を聞き、自分でしっかりと勉強をして、後悔のない決定をできるように努力してくださいね!

住宅ローンの選び方についてはこのサイトでも書いています。
住宅ローンの選び方、金利の比較以外にもっと大事なこととは?
ぜひ参考にしてください!

磐田 隆行

住宅ローンアドバイザー、FP3級。 家を建てた時、家作りの難しさを体感。自分の失敗や経験を元に家作りに必要な情報をお届けしたいと思いブログを立ち上げました。特に資金計画の難しさを実感したので住宅ローンアドバイザーの資格を取得。今もなお勉強中です。

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